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集客向上のコツとは ネットの普及に伴い、TVCMの「続きはWebで」に代表されるクロスメディアの取り組みが活発化している。また、従来のメディアミックスとの違いが議論されるなど、クロスメディアという言葉がマーケティング・コミュニケーション界の流行語と化していると言えるだろう。本特集では、目的の連続性、ブランドイメージの一貫性、次なるアクション(購買など)との連携性などの観点から、現状の「続きはWebで」を検証する。 Webへ誘導する目的を踏まえた現在進行形のメディア展開が不可欠 ネットの普及に伴い、Webを中心としたクロスメディアの取り組みが活発化している。しかし、安直なキーワードが乱立する現状で、必ずしも本来の効果を得ているとは限らない。TVCMの「続きはWebで」に代表されるこれらの展開について、目的の一貫性、次なるアクションとの連携性、ブランドイメージの一貫性の観点から検証する。 検索ありきの広告は果たして効果を伴っているのか クロスメディアが注目されている。 現在、注目されているのは、見込客をTVCMや交通広告からWebサイトへ誘導するものが主体だが、ネットが普及する以前のクロスメディアは、マス媒体から資料請求を訴求する、アナログからアナログへといった流れであった。当時のクロスメディアの主役は、通信販売会社をはじめとするダイレクトマーケター。新聞や雑誌広告によりカタログ請求を訴求する、あるいは、TVCMにより翌日の折込みチラシの配布を予告するといった取り組みが、古くは“メディアミックス”の名のもとに活発に展開されていた。 最近のクロスメディアは、アナログからデジタルへといった流れが主流になってきたが、その背景には、インターネットの普及自体もさることながら、これに伴うマス媒体のパワーダウンが挙げられる。実際問題、ある大手通信販売会社では、弊社の取材に答えてクロスメディアへの取り組みの背景にマス媒体のレスポンス率低下を挙げている。 またインターネットの普及は、生活者の購買行動を変化させてもいる。(株)電通が提唱するAISASモデルがそれだ。AISASとは、「認知(Attention)」「興味(Interest)」「検索(Search)」「行動(Action)」「意見共有(Share)」の頭文字をとったもの。従来からのAIDMA(「認知(Attention)」「興味(Interest)」「欲求(Desire)」「記憶(Memory)」「行動(Action)」)の欲求と記憶が希薄化する一方、検索と共有が重要になってきているというのだ。 こうした中、クロスメディアは、認知、興味に続く行動、すなわち購買に先立つ検索を促進する仕掛けとして、マーケターの注目を集めていると言える。 ちなみに、2006年10月にインターネットコム(株)とgooリサーチが行った検索連動型TVCMに関する調査によると、検索のためのキーワードをアピールするCMを見たことが「ある」と回答した人が51.93%。このうち、実際にCMを見て検索したことがあると回答した人は31.0%となっている。この数字を多いと見るか少ないと見るかは意見の分かれるところだが、いくらWebサイトのアクセス数が増えたところで、サイトの設計が不適切であれば、本質的な効果は見込めない。 今や、TVCMや交通広告には軒並みと言っていいほど、検索窓や検索ワードが記載されているが、中には単にブームに乗って表面的な取り組みに終始しているケースも多いのではないだろうか。今回の特集は、こんな問題意識のもと、TVCMからWebサイトに誘導する「続きはWebで」にフォーカスした。 既存メディアで注意を喚起Webで経験価値を高め、次なるアクションを促す 今回の取材対象企業におけるクロスメディア展開の目的は、大きく以下の2種類に分けることができる。ひとつは、販売チャネルへの誘導(リード・ジェネレーション型)、もうひとつがブランドイメージの醸成(ブランディング型)である。 前者の例は、万有製薬(株)とヤマハ(株)。万有製薬は、広告の表現上の規制を逆手に取り、AGAというキーワードを前面に出したTVCMで「うす毛は診察して治す時代」という概念の認知を広げ、Webサイトでは情報を取りに来たユーザーが最寄りの病医院を検索できるコンテンツを盛り込んだ。ヤマハの場合は、キャラクターを起用したTVCMで子どもの注意を喚起し、親がWebサイトで最寄りのヤマハ音楽教室の場所を検索できる仕組みだ。単純に効果の相関を見ることはできないが、取材時点での“体験教室”への申し込み数は前年比で約1.5倍となっている。 こうした、リード・ジェネレーション型のTVCMの狙いは、視聴者に「もっと知りたい。情報を取りたい」と思わせること。そうした気持ちを削がないよう、Webサイト側では、ランディングページの作り、情報検索のしやすさ、その後のアクションの起こしやすさを熟慮し、ゴール(店舗など販売チャネル)まで一貫した導線を設計することが必要だ。例えば、前述の万有製薬の場合、病医院内に設置するコミュニケーションのきっかけとなるツールを用意。院内のどの場所に設置したら良いかについてのマニュアルも用意している。 後者のブランディング型の例は、住友林業(株)と日清食品(株)。住友林業は、山林から住宅事業まで手掛ける“サステナブルな”取り組みを広く一般に知ってもらうため、クロスメディアによる本格的な企業のブランディングに乗り出している。若年層の理解を促すため、森の精をイメージした「きこりん」をシンボルキャラクターとしたTVCMとWebサイトの専用ページを作成。これにイベントを絡めることで、前年比200%というアクセス数につなげている。 日清食品は、同社のロングセラー商品「カップヌードル」のブランドの老朽化を防ぐため、主に若者をターゲットに商品の持つ「自由さ」を訴求するプロモーションを企画した。一種の“作品”であるアニメーションを多種多様なチャネルで活用。動画コンテンツを楽しんでもらうことで若者の感覚や生活に入り込み、ブランドイメージの形成に貢献している。カップの裏面のフタに記載したQRコードへのアクセスは1万件/日にのぼり、滞留時間の増大と摂食時間帯の把握を実現した。 これらのブランディング型のTVCMの狙いは、面白い映像コンテンツがあると思わせてWebサイトへ集客すること。Webサイト側では、動画コンテンツなどを活用してWebサイトへの滞留時間を伸ばすと同時に、映像や音楽を通してサイトの経験価値を高める。さらに、常に新しいことが起こる現在進行形の場として機能させることで、リピート訪問を促進し、ひいては訪問者のブランドロイヤルティを高めることがゴールと言えるだろう。 IMCの観点から目的に即した戦略作りを クロスメディアのキャンペーンを展開するに当たって重要なのは、目的を明確にして、ターゲットとどのようにコミュニケーションしていくかを考えることである。 (社)日本広告主協会のWeb研究会の下部組織、クロスメディアワーキンググループでは、2007年3月のフォーラムで、インターネットを「Core of Communications」と宣言。また、同研究会に参画している、本田技研工業(株)の宣伝販促部ホームページ企画ブロック ブロックリーダーの渡辺春樹氏は2006年11月1日に開催されたネット・マーケティング・フォーラム2006において「ネットがメガメディア時代のハブになる」と提言しているが、ネットをすべてのメディアの中心に位置付けてマーケティング・コミュニケーションのあり方を考え直す時代が到来していると言えよう。 前出のインターネットコムとgooリサーチの調査において、検索の理由として約7割が「CMの詳細な内容、続きが気になったから」と回答しているように、検索行動の主な動機は、「何か面白そうなものがあるらしい」ということ。しかし、Webサイトに来ればそれで終わりというわけではない。商品の購買プロセスを顧客の視点から見ると、広告の続きはWebで、さらに続きはコールセンターで、そして続きは店舗でと、すべてがひとつながりになっているのだ。 顧客視点でのビジネス構築が求められている現在、メディアを超えて目的・メッセージ・トーン&マナーを統一するIMC(Integrated Marketing Communication)の観点からの戦略づくりこそが、クロスメディア設計のスタート地点と言えるのではないだろうか。そして、リーチメディアが何であれ、既存メディアによりいかに興味を喚起してWebサイトに引き込み、現在進行形のコミュニケーションを展開できるかどうかが、クロスメディア成功のカギを握っていると言えるだろう。 |
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